熱交換器の役割

熱交換器の役割・用途とは

熱交換器は加熱や冷却だけではなくさまざまな用途があります。ここでは、熱交換器の代表的な用途について紹介します。

加熱

加熱は熱交換器の代表的な用途といえます。加熱用途では家でも広く取り入れられており、たとえばオイルヒーターなどが挙げられます。また、ゴミ処理場に隣接した公営の温水プールなども熱交換器の加熱を使用しており、ごみの焼却熱を有効活用しています。

冷却

加熱同様、熱交換器では冷却の用途でも広く用いられています。たとえばエアコンや冷蔵庫などが挙げられるでしょう。また、熱交換器の冷却機能は工場でも活躍しており、食品や電子、化学薬品など幅広い分野に及びます。

冷凍

熱交換器を冷凍の用途で使用し、生鮮食品などを凍らせることも可能です。冷凍させるためには不凍の冷媒を循環させ、0℃以下の空気をつくりだします。

蒸発

液体を加熱させて期待(蒸気)に変える用途では、スチームサウナ等に役立っています。また、熱交換器は天然ガスの運搬にも活用されており、液体の状態で船によって運ばれてきたガスを蒸発させ、気体の状態で家庭へ輸送しています。

凝縮

蒸発の用途とは逆に、気体(蒸気)を冷却することによって液体へ変える凝縮の用途もあります。たとえば除湿機は、空気中の水分を熱交換器によって冷却させることで水へ変え、タンク内に溜まる仕組みです。
また凝縮の用途では、溶剤回収のように複数成分が混ざったガスを露点以下まで冷却し、成分を液体として取り出すこともできます。

伝熱の種類

伝熱の種類は大きく分けて3つあり、「輻射」と「熱伝導」、「熱伝達(熱対流)」に分けられます。とくに熱伝導と熱伝達の違いはわかりにくいですが、熱伝導は物質間で熱が伝わるもの・熱伝達は物質中を熱が移動するものと覚えておくと良いでしょう。

輻射(ふくしゃ)

物体が発する熱が電磁波となって伝わる現象を輻射と呼びます。放射と呼ばれることもあり、真空中でも熱が伝わるのが特徴。たとえば太陽光(太陽から電磁波が地球に届いて地表に当たる)などが輻射にあたります。

熱伝導

物体内において、熱が高温から低温へ伝わる現象を熱伝導と呼びます。たとえばフライパンを使って調理を行うとき、ガスコンロの火(熱)がフライパンへ伝わることでフライパンが熱くなります。また、硬く凍ったアイスクリームを溶かして食べやすくするスプーンがありますが、こちらも熱伝導を利用したもの。手の熱をスプーンに伝えることで、アイスを溶かしやすくしています。

熱伝達(熱対流)

温度差のある固体の表面と、その固体に触れる流体を熱移動によって温度変化させる現象です。たとえば、やかんの中の水はガスコンロの火からやかんへ熱伝導をし、やかんの熱が水の中を移動(熱対流)することでお湯へ変化します。また、自動車のラジエーターも熱伝達によってエンジンの熱を下げています。

熱交換器の周辺機器

熱交換器の周辺機器として、ポンプが用いられることがあります。その理由は、流体を強い力で移送するため。たとえば熱交換器の配管内で流体を移送させるとき、摩擦抵抗が生じます。すると流体を十分に移送できなくなってしまうため、ポンプを使って強い力で流体を移送させるのです。
なお、流体の特性や配管の長さなど、どんな流体をどんな配管で移送させるかによってポンプの大きさは変わります。そのため、熱交換器よりもサイズの大きなポンプが必要になることもあります。

熱交換器を利用する施設・機器

熱交換機を利用する機器は、エアコンや冷蔵庫、車やバイクのラジエーター、給湯器など。機器によって加熱や冷却などの用途が異なります。
熱交換器の用途は幅広いため、利用する施設としては、温水プールや温泉、水温調整が必須となる水族館など多くの施設が挙げられるでしょう。さまざまな分野の工場などでも利用されています。

熱交換器の用途

空調

冷凍機などの冷熱源機器、ボイラーなどの温熱源機器の熱を空調機循環水に伝えるために熱交換器が活用されています。また、不凍液の蓄熱や放熱、給湯加熱、温水プールの加温にも用いられています。

食品・飲料製造

食品を製造する工程で必要な冷凍保存や加工などでは熱交換器が活用されています。たとえばカップラーメンの製造において、麵や具材、容器などの各製造工程で熱交換器の冷却・加熱プロセスが役立ちます。
また、ビールなどの飲料製造においても、煮沸釜から出る熱回収や原料の冷却、排水設備などで熱交換器を使用します。

化学薬品製造

水や酸、アルカリなどの熱装置において加熱・冷却・蒸発工程に熱交換器が必要です。反応熱の除去や熱回収、溶媒蒸気の凝縮、冷却による環境対策などさまざまな目的で使用します。

医療

クリーンな空気が必要となる医療施設でも熱交換器が使用されています。

電子部品

電子部品には半導体が使われており、湿度や温度に注意する必要があります。また、埃などの異物も排除しなければなりません。そこで熱交換器を使用し、空気をクリーンに保ちます。
また、表面処理工程における槽の温調、油圧による高温油の冷却、成形加工時の冷却などでも熱交換器が用いられます。

自動車

自動車を製造する工程ではプラスチックや木材などを乾燥させる必要があります。そこで熱交換器を用いて空気を加熱します。また、自動車塗装ラインでも熱交換器が使用されています。

製鉄

鉄鋼生産では冷却が必要不可欠のため、熱交換器が用いられます。製銑工程や製鋼工程、圧延工程、メッキ工程などさまざまな工程で使用されています。

船舶

船舶のエンジンや発電機を冷却するため、海水を冷媒とした熱交換器があります。また、燃料油を冷却するためのクーラーとして熱交換器が用いられることもあります。

電力

火力発電や地熱発電、原子力発電ではタービン油の冷却が必要。そこで熱交換器を使用し冷却水を冷却しています。

環境・省エネ

製造工場などでは排水や排ガスが発生しますが、その熱を熱交換器によって温水や冷却水に変えています。排水や排熱を有効活用することで、環境問題や省エネに貢献できます。

タイプ別に熱交換器のスペックを簡単比較!

熱交換器の3タイプ(シェル&チューブ・プレート・プレート&シェル)をそれぞれ「サイズ」「設置しやすさ」「性能」「整備しやすさ」の4つの観点で比較しています。
2021年4月調査

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