熱交換器のサイズは、機器そのものの大きさに加え、圧力損失(流体が熱交換器内を流れる際のエネルギーの損失)で決まります。また、その他の要因として、アプローチ温度(凝縮温度と外気出口温度の差)、プレート材料の違いなどがあります。
熱交換器が所定の能力を発揮していない場合、以下のような原因が考えられます。汚れや接続ミスがないか、一度確認してみましょう。
ストレーナーの詰まり、配管のエア噛み、循環ポンプの不良などいくつか原因が考えられますので、流量減少が起こっていないか速やかに点検を行ってください。
長く使用している場合であれば、温度差または圧力差の経年変化によって流量が減少する可能性もありますので、点検後に劣化が見られるようなら交換および切替をしましょう。
なお、冷水の流量不足は熱交換器の凍結事故につながる危険性がありますので早急に対処する必要があります。
液漏れはプレートガスケットの劣化が原因かもしれません。プレートガスケットは消耗品であり、使用条件などによって異なりますが、30℃未満の水で7~10年、30℃以上・100℃未満の温水で5~7年、100℃以上の熱水で1~3年が交換目安となっていますので、必要に応じて交換することをお勧めします。
その他、プレート式熱交換器の締付寸法が所定の範囲内にあるか、伝熱プレートの板厚および枚数が銘板の記載通りか、伝熱プレートの編成が正しいか、プレートガスケットと伝熱プレートの間に異物が混入していないかなども併せて確認してください。
熱交換器を小さいものにリプレイスする場合、専門業者に依頼して現場の状況や設置環境の確認、さらに熱量計算・能力設計・構造設計などを一から行い、最適なサイズの熱交換器を提案してもらう必要があります。
たとえばシェル&チューブ型の熱交換器なら、シェル&プレート型、プレート型などの熱交換器に切り替えることが可能です。単純にコンパクト化するのではなく、用途に応じた最適な熱交換器を設置してください。
熱交換器設置の際は、機器の分解やプレート着脱などの工事・点検やメンテナンスのために、熱交換器の大きさ+一定のスペースを確保する必要があります。
一例となりますが、小型で熱交換器から600mm以上・横幅1000mm・高さ1300mm、中型で熱交換器から1000mm以上・熱交換器の全長に相当する横幅・高さ2300mm、大型で熱交換器から1500mm以上・熱交換器の全長に相当する横幅+600mm・熱交換器に相当する高さといった推奨スペースが定められています。
使用状況によって異なりますが、概ね年に1回ほど保守点検を行い、その際に必要に応じて洗浄を実施すべきといえます。なお、水洗いでは落ちない汚れもありますので、専用の薬液洗浄が推奨されます。
伝熱プレートには、V字角度が鈍角なHプレートと鋭角なLプレートという二種類があり、それらを組み合わせることで「H-H」「H-L」「L-L」という異なった流路を作り出すことができます。
これをミックス編成といい、「H-HはNTU(移動単位数)が高く圧力損失が大きい」「L-LはNTUが低く圧力損失が小さい」といった特性を考慮し各プレート枚数を変えることで、最適な特性を作り出すことが可能となります。