熱交換器の仕組み

熱交換器の仕組み

「高温の流体から低温の流体へ熱エネルギーが移動する」性質を活かしてつくられた熱交換器。熱交換では熱をつくりだすことはできませんが、高温の流体と低温の流体の熱を伝え合うことで意図的に温度変化を起こします。
熱交換器は大きく分けると「隔壁(間接)方式」と「直接接触方式」があり、2つの流体の熱交換を間接的に行うのか・直接触れ合わせて行うのかによって分けられます。

隔壁(間接)方式

一般的に熱交換器は隔壁(間接)方式を用いており、「シェル&チューブ(多管式熱交換器)」「プレート」「プレート&シェル」「スパイラル」「フィンチューブ」などが属します。
隔壁(間接)方式は固体壁を介して2つの流体を流すことで温度を伝え合う方式です。固体壁には金属などが用いられており、高温と低温の流体を交互に流します。隔壁(間接)方式は取り扱いがしやすく、流体の加熱や冷却、濃縮、蒸発、凝縮、熱回収など幅広い用途に対応可能。

直接接触方式

熱交換を行う流体同士が直接触れ合う方式です。隔壁(間接)方式のように伝熱壁は存在せず、空気と水などの2つの流体の温度を伝え合わせることで熱交換を行います。空調用の冷却塔やバロメトリックコンデンサーなどに用いられています。

熱を移動させる仕組み

熱交換器では異なる2つの流体の温度を伝え合わせる「熱交換」を行うことで温度変化を起こします。
熱エネルギーは高い方から低い方へと移動する性質をもっていますが、たとえば高温の流体と低温の流体がある場合、熱移動の仕組みを利用すれば高温の流体を冷やし、低温の流体を温めることが可能。ただし熱交換はあくまでの熱の移動であり、熱をつくりだすことはできません。
そのため2つの流体それぞれがもっている温度以上・以下にすることは不可能。たとえば60℃の流体と5℃の流体で熱交換が行われた場合、60℃以上あるいは5℃以下の流体へ変化させることはできないということです。

また、2つの流体の温度差が大きいほど熱交換後の温度変化がわかりやすくなっていますが、流体同士の温度差が小さい場合には熱交換を行っても温度変化が少ないため、数値以外では判断しにくいでしょう。

熱交換器の交換熱量をアップさせるには

伝熱面積を大きくする

熱を伝える部材である「伝熱面積」を大きくすることで交換熱量をアップできます。たとえばプレート枚数を増やす、菅束本数を増やすなどで伝熱面積が大きくなります。
結果として伝わる熱量が増加し、交換できる熱エネルギー量も増えます。

総括伝熱係数(伝熱効率)をアップさせる

総括伝熱係数(伝熱効率)とは、機器全体における熱の伝わりやすさのこと。熱が伝わりやすいことで交換熱量をアップできます。
素材や状態によって総括伝熱係数(伝熱効率)は異なるため、表面を薄くする・熱伝導率の高い材質を採用する・伝熱面に凹凸をつくる・伝熱面の汚れを取り除くなどの工夫が必要です。

対数平均温度差をアップさせる

対数平均温度差とは、熱交換器内において高温の流体と低温の流体の温度差の対数平均のこと。簡単にいえば、2つの流体の温度差が大きいほど交換熱量は大きくなります。そのため、冷却を行うときは冷却媒体の温度が低いほど交換熱量がアップします。

タイプ別に熱交換器のスペックを簡単比較!

熱交換器の3タイプ(シェル&チューブ・プレート・プレート&シェル)をそれぞれ「サイズ」「設置しやすさ」「性能」「整備しやすさ」の4つの観点で比較しています。
2021年4月調査

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