ここでは、熱交換器の仕組みや導入メリット、使用される素材や施設・機器などをまとめています。
熱交換器は、水や空気など温度の異なる(温かい・冷たい)流体を混ぜ合わせずに熱エネルギーの移動・交換を行う機器です。
身近なものとしては水または空気を使って車のエンジンを適温に冷やすラジエーター、エアコンの室内機と室外機どちらにも熱交換器が使用されています。
それ以外にも、冷凍機・食品製造・化学薬品製造、ボイラーの排ガスの熱利用、船舶設備、倉庫、温水プール、水族館など多くの場所で活用されているのが特徴です。
熱交換器の最大のメリットは、高い温度交換率による「省エネ」効果にあります。空調設備であれば一般的な換気と異なり、熱回収によって冷暖房熱のロスを抑えることが可能。
産業分野では排気ガス熱を熱交換器で回収して水や空気の加熱に再利用することで大幅な省エネを実現します。
また、熱交換器の種類によって得られるメリットは異なってきます。
熱エネルギーは高温から低温へ移動する性質を持っており、熱交換器はこの性質を利用した機器です。熱交換器には「隔壁(かくへき)方式」と「直接接触方式」の二種類があり、それぞれ仕組みが異なります。
高温・低温の二種類の流体が金属などの壁によって隔てられており、それぞれを交互に流すことで壁面への熱伝達によって高温流体の温度を下げる、または低温流体の温度を上げることができます。
加熱・冷却・濃縮・蒸発・凝縮・熱回収など用途が幅広く、様々な産業分野で利用されている方式です。
液体を遮断する遮蔽物を用いずに高温・低温の流体が直接触れ合うことで熱交換を行う方式です。
ビルやショッピングモールの屋上に設置されている空調用の冷却塔が一般的で、屋上に組み上げた水を冷却塔で大気と接触させることで水を蒸発させ、その気化熱によって水の温度を下げます。
熱交換器の故障や性能低下を防ぐためには、定期的なメンテンナンスが重要。普段からセルフメンテナンスを行い、メーカーによるメンテナンスも計画的に依頼しましょう。
ただ、メンテナンスには費用も手間もかかります。そこで、メンテナンスの少ない(またはメンテナンスフリー)熱交換器を選ぶのがおすすめです。
熱交換器は基本的に伝熱板(フィン)と伝熱管で構成されており、当然ながら熱伝導率が高い素材の方が効率よく熱が伝わります。
特に伝熱板には熱伝導性に加えて加工性・耐食性・強度なども要求されることから、アルミニウムが多く用いられているようです。
伝熱管もまた熱伝導性および耐食性に優れていなければならず、伝導率の高いステンレス鋼・銅合金・アルミニウム合金といった金属が多く使用されています。
また、耐食性の高さだけでなく軽量・安価であることが求められるプラスチック製熱交換器には、ポリ塩化ビニル・ポリプロピレン・PFA(フッ素樹脂)などの素材が用いられています。
熱交換器は、その用途に応じて使用する場所・種類が異なります。
熱交換器の導入に際しては、その選び方、運転中、メンテナンスなど、シチュエーション毎に様々な疑問が出てくるようです。
一例として、設置前であれば「熱交換器のサイズの決め方」「熱交換器の周りにどのくらいのスペースが必要か」、運転中であれば「熱交換器の能力が落ちている場合の対処法」「液がプレートサイドから外部に漏れている」、その他「熱交換器を小さいものにリプレイスする場合」「伝熱プレートの洗浄頻度」といった質問が多く挙げられています。
以下のページではよくある質問をQ&A形式でまとめています。